癌細胞とグリア細胞はブドウ糖を取り合う。グリア細胞に軍配を上げる方策?

2019/04/26 作成 八羅文明(書籍SNSマップ

人の生命維持に必要なエネルギーは

エネルギーの通貨と呼ばれる〈アデノシン三リン酸〉をアデノシン二リン酸に分解することで得ています。この〈アデノシン三リン酸〉は少ないのでアデノシン二リン酸を〈アデノシン三リン酸〉に戻すことでエネルギーを発生し続けることができます。このアデノシン二リン酸からアデノシン三リン酸に戻す過程で糖分や脂肪酸やケトンが使われます。人体の細胞でのエネルギー生成とはアデノシン二リン酸を〈アデノシン三リン酸〉に戻すことと言ってもよいのです。そう考えると大変理解しやすくなります。人体はこのアデノシン三リン酸を作り出すために糖分・脂肪酸・ケトンを使います。

癌細胞は糖分だけでアデノシン三リン酸を作り出します。癌細胞は糖分(ブドウ糖)だけでエネルギーを得ているのです。

「それでは、ブドウ糖を断てば、癌細胞を兵糧攻めにできるではないか!他の細胞はケトンに頼ればよい!」と考えるようです。けれでも残念なことにそうはいかないのです。人体の通常細胞にも癌細胞と同じようにブドウ糖のみでエネルギーを得ている細胞があるからです。それはグリア細胞です。グリア細胞と言うのは神経細胞と共にあります。神経細胞の50倍ほどもあると言われています。したがって脳には多量のグリア細胞があります。グリア細胞は神経細胞に栄養を与え、神経細胞の老廃物を処理します。神経細胞の位置関係を固定します。ようするに、神経細胞はグリア細胞無くして活動できないし、生きてはいけません。人間の脳では人体全身の24%ほどのエネルギーが消費されていると言われていてその多くがグリア細胞が消費します。したがって血糖値を下げるとグリア細胞が神経細胞に充分なエネルギーを供給できなくなり、人は生きていけません。

糖分を完全にカットしてケトンに置き換えるなどと言うことをやれば、悪名高い抗がん剤治療や放射線治療などと同じように癌細胞以外のグリア細胞やグリア細胞が支えている神経細胞が癌細胞より先に死ぬことになりかねません。 ブドウ糖の供給を止めると言う兵糧攻め作戦はむつかしいのです。

けれども、ブドウ糖の取り込みに関して、癌細胞には大きな弱点があります。

グリア細胞は細胞内のミトコンドリアが血液中から取り入れた酸素とブドウ糖を使って大変効率よくエネルギー作り出しています。有酸素エネルギー生成と呼ばれています。ところが、癌細胞にミトコンドリアは少なくて無酸素エネルギー生成が主です。無酸素エネルギー生成は大変効率が悪いためにグリア細胞よりはるかに多くのブドウ糖が必要になります。癌細胞には有利な点もあります。それは有酸素エネルギー生成よりもはるかに速くエネルギーを作り出すことができると言うことです。短時間でより多くのブドウ糖を消費できると言うことです。

人体はグリア細胞に充分なだけの血糖値は維持しますが、それ以上血糖値が上がると血糖値を下げます。膵臓からインシュリンが出されて過剰のブドウ糖はグリコーゲンや脂肪に変換されます。この状態では癌細胞にはブドウ糖が不足するのです。問題が起こるのは小麦や砂糖などの早すぎる食材を摂ったときです。一時的ですが血糖値が高くなりすぎて、グリア細胞は一定以上のブドウ糖を取り込みません。インシュリンが出て血糖値を下げるのが間に合いません。高血糖になり有り余る血糖を癌細胞が一挙に取り込み活気づきます。これがまずいのです。

癌を宣告されたときに真っ先にやるべきことの一つが小麦と砂糖の摂取を止めることです。それが癌の増殖を止める第一歩になり得るのです。

小麦の糖質はスーパー糖質と呼ばれていて砂糖よりもさらに吸収が早いことで知られています。《この早すぎる吸収が肥満の元凶でもあります》

拙著(基本の糖質制限)を参照していただければ幸いです。

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